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江波山気象館 メールマガジン
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2005年 5月1号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
気象に関するさまざまな情報をお届けします。
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気象医学 (暑さと帽子と脱毛) 
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 初夏の陽気となり日射が強まってきました。夏本番に向けて太陽高度はさらに高まり、より強い日射が降り注ぐようになります。晴れると、野外の活動が活発となり、海に山にと出かける機会が多くなります。

 強い日差しの中に出かける時は、特に女性の場合、日傘を利用して紫外線による日焼け防止に神経を使います。しかし、活発に野外活動を行う場合は、暑さや日よけのため男女を問わず帽子をかぶることが多くなります。
 この帽子のかぶり方(頭の締め付け具合)によっては、側頭部を流れる血流を悪くさせて、頭髪の生長に悪影響をもたらすことがあります。頭の表皮に行く血流を阻害するような条件を付け加えると頭髪が脱毛しやすくなります。頭の皮膚に血液を送る主な動脈は浅側動脈といって、頭部の両側面下方から頭頂に向かうように流れています。
 したがって、制帽等を長期にわたってかぶり続ける職業の人は頭髪の脱毛がしやすくなります。

 脱毛について季節変化を見ると、季節ごとの毛の抜け変わりは、人間には見られませんが、犬猫など多くの動物で見られる現象です。
 人間の頭髪の脱毛を調べてみると、冬季に少なく、春から夏にかけて多くなり、秋には最高になります。最も多い時は、最も少ない時の5倍にも達するそうです。脱毛が冬季に少なく、夏など気温の高い時期に多いということは、気温が関係しているのでしょうか? 

 気温が25度未満の場合は、側頭周囲を1年中堅く締め付けるような条件を与えても、脱毛は増加しませんが、25度以上の場合は、かぶっているものの性質によって違い、分厚い冬帽子では著しい脱毛が促進され、涼しい夏帽子ではそれほどでもないという結果が得られています。
 そして、環境気温が28度以上の場合は、たとえ帽子をかぶっていなくても、締め付けているというだけで脱毛が増加することが証明されています。帽子をゆるくかぶっているときはこの限りではなく、一番の問題は、頭が締め付けられているかどうかによって、高温が悪影響を与えるかどうかの鍵を握っているのです。

 秋になって、髪の毛を憂える前に、このようなことも参考にして、夏を乗り切ってみてはいかがでしょうか。

(引用書物:「気象と生活」大後美保 海文堂)