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江波山気象館 メールマガジン
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2005年 7月2号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
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中国地方の海陸風(涼をよぶ風) 
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 夏の太平洋高気圧に覆われると、かんかん照りと蒸し暑さで、大汗をかくなど耐え難い暑さに見舞われます。でも、少しでも風が吹くと、体から熱を運び去る涼風となり、暑さが緩和されます。そこで、夏の暑さを緩和してくれる涼風はどのように吹くかを見てみましょう。
 夏の穏やかな日に吹く風は、地形によってもたらされます。その代表格として、海陸風があります。海陸風は、半日周期で、日中は海から陸へ、夜間は陸から海に向かって吹く風です。日中は強い日射で、陸地の方が海より暑くなるため気圧が下がり、海から涼しい風が陸地に向かいます。夜間は、陸より海の気温が下がりにくいため、陸から海に向かう風が吹きます。
 中国地方の海陸風を見ると、日中の海風は、日本海側では北よりの風、瀬戸内側では南よりの風が吹いており、内陸部に集まるように吹きます。

 海風は内陸部に進むと、山谷風と合流した形で中国山地の脊梁部に達します。そこでは、日本海側、瀬戸内側の風が衝突した形となり上昇流が発生して、積雲が発生します。時に積雲は発達して積乱雲となり雷雨をもたらします。積乱雲が発生すると、雲に吸い込まれる地上の風が強まるので涼しくなります。雷雨は平野部に下りてくることもあり、夕立や、下降気流で涼しさを与えてくれます。

  一方、夜間の陸風は、陸から海に向かって広がるように吹いていることが分かります。でも、この風がぴたりと止んで、蒸し暑さで耐えがたくなる時間帯があります。夕凪です。夕凪は、海風から陸風に代わる時に発生します。午後8〜10時頃にかけての時間帯です。特に瀬戸内海の夕凪は有名です。昔は夕凪対策として、庭などに打ち水をして涼をとるなどしていました。
 その後、都市化が進み、都市に熱がこもるヒートアイランド現象が暑さを助長しています。高層ビル群が風の流れを悪くしていることも原因です。建物の配列を工夫して海陸風が通りやすくする研究も行われています。
 暑さ対策としクーラーに頼りがちですが、省エネも重要です。なるべく自然の力で涼をとる方法で、夏を乗り切りたいものです。


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