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江波山気象館 メールマガジン
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2005年 10月2号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
気象に関するさまざまな情報をお届けします。
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焚き火と逆転層 
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 稲刈りが終った田んぼでは、晩秋の風物詩として、あちこちで籾殻を焼いている光景が見られます。籾殻焼きの煙は、昼間は上空に立ち昇り、遠くに広がって薄まっていきます。

 夕方になると、籾殻焼きの煙やその他の焚き火による煙は50m位の上空で横にたなびき、煙の層(煙霧層)ができるようになります。

 煙霧層は濃くなると視程障害を起こすほどになり、交通機関にも影響を与えることがあります。

 夕方は風も弱まり、放射冷却で地面付近の空気が冷やされ、地上から50m付近の層に冷気が溜まります。その結果、その上の空気は相対的に暖かいことから気温の逆転層が形成されます。

 このため、煙は上空に拡散されず、逆転層の下の冷気層内に閉じ込められます。
 この状態は、翌日まで続き、日出後数時間くらいで解消されます。

 注意されたいことは、大規模な野焼きや、家庭ごみの無分別焼却です。これらの煙は、逆転層内の狭い範囲に充満し、濃度が高くなります。特に、有害な煙となるプラスチック類や、発泡スチロール、塩化ビニールなどが混じっていると、目や鼻、呼吸器を刺激し、喘息の発作などを誘発します。

 夕方や朝方は、寒いことや風が弱く飛び火の心配が少ないことから焚き火をしがちですが、有害な物質を燃やさないようにしたいものです。

 しかし、焚き火は体を暖めるだけでなく、人々の心を暖める効果があります。焚き火に誘われ、人の輪と和も広がります。落ち葉で焼き芋をやればなおさらです。

 節度ある焚き火の光景は残したいものですね。



 
広島県三次市での逆転層の写真(クリックで拡大します)
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