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江波山気象館 メールマガジン
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2007年 2月2号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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「春一番」
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 中国地方では2月14日に春一番が吹きました。

 冬から春に移り変わるこの時期にはじめて吹く強い南風を「春一番」といいます。気象庁では各地で基準を決めていますが、中国地方では、「立春(2/4頃)から春分(3/21頃)までの期間で、日本海で低気圧が発達し、強い南よりの風(風向きは東南東から西南西までで、風速10m/s以上)が吹き、気温が前日より3℃以上上昇し、10℃以上であること」を発表の目安にしています。

 この時期に日本海を北東に進む低気圧に向かって、南側の高気圧からあたたかい風が吹き込むために起こりますが、「春一番」が吹いた後は一気にあたたかくなるというわけではなく、南風が吹き込んだ低気圧は急速に発達しながら北東へ進むため、太平洋へ抜けるとその後は西高東低の冬型の気圧配置になり、寒さが戻ることも多いようです。

 また、必ず毎年吹くというわけではなく、条件が整わずに、「春一番」が吹かなかったという年や、地域によっては「春一番」が観測された以降に同様の条件を満たした南風が観測された場合には「春二番」「春三番」と呼ぶこともあるようです。

 中国地方での春一番は3年ぶりでした。

 「春一番」の語源についてはいろいろな説があるようですが、よく知られているのが、1859年(安政6年)旧暦2月13日に長崎県郷ノ浦町で、五島沖に漁に出た漁師53人が春の強い突風にあい全員が遭難したという海難事故です。

 このときからこの地域では春の初めの強い南風を「春一」または「春一番」と呼ぶようになり、恐れられたといわれています。

 穏やかな春の訪れを連想させるような名前ですが、あたたかい南風により気温が上昇して雪崩が起こったり、日本海を低気圧が急激に発達しながら通過していくため、荒れた天気になることが多く、突風や竜巻が発生したり海がしけるなど、大きな災害につながる恐れもあります。