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江波山気象館 メールマガジン
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2008年 5月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
気象に関するさまざまな情報をお届けします。
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梅雨のおはなし
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 もうすぐ6月です。6月といえば長雨が続く「梅雨(つゆ)」の季節です。
中国地方の梅雨入りの平年値は6月6日ごろですから、そろそろ心積もりをしておいた方がよさそうです。

 気象庁では「晩春から夏にかけて雨や曇りの日が多く現れる現象、またはその期間。」を梅雨と定義しているのですが、なぜこの季節に曇りの日や雨の日が続くのでしょうか? この季節、日本の上空では南の暖かく湿った空気のかたまりと北の冷たく湿った空気のかたまりが押し合っています。そして、この二つの性質の異なる空気のかたまりの境目に「前線(ぜんせん)」(この前線のことを梅雨前線と呼んでいます)ができ、雲ができたり雨を降らせたりするのですが、この前線、南の暖かく湿った空気のかたまりの勢力が強くなる7月ごろまで日本付近に停滞するために雨天や曇天が続くのです(梅雨前線の影響を受けない北海道にはそもそも梅雨がありません)。

 しかし、この梅雨、西日本では「ザーザー」東日本では「シトシト」と表現されるほど西日本と東日本では雨の降り方が違うと言われているのです。
 これを各地の梅雨時(6月・7月)と、秋雨時(9月・10月)の雨量を年間雨量と比較しました(1970年から2000年の平均)。
  仙台(梅雨時:23.9%、秋雨時:25.5%)、同様に、
  東京(22.2%、25.3%)、名古屋(26.8%、23.4%)、
  大阪(27.2%、21.8%)、広島(32.1%、17.9%)、
  福岡(33.0%、15.7%)、鹿児島(33.2%、14.6%)
 西日本では、6月・7月の雨量が9月・10月のそれよりかなり多いのに対して、東日本では、同じか9月・10月の方が多くなっています。
 広島に住んでいると、雨の季節といえば梅雨時期を連想させますが、東日本では雨の季節といえば秋を連想する人も多いのかもしれませんね。

 さて、梅雨前線上には、しばしば低気圧が発生します。低気圧は反時計回りの風を生みますから、その風の流れによって、南から暖かく湿った空気が梅雨前線に運ばれます。そうすると前線の活動が活発になって、強い雨が降ることがあります。
 広島県では1999年(平成11年)6月29日に、いわゆる「6・29災害」が発生しました。梅雨時期の激しい雨により、山崩れ・がけ崩れ・河川の氾濫・土石流等が多数発生し、広島県内の南西部を中心に、死者及び行方不明者32名・住家の被害は4,516棟に及ぶなど甚大な被害が発生しました。

 梅雨の時期は大雨による災害が発生しやすくなります。今一度、災害に備えた準備や心構えを再確認し、気象情報や防災情報には特に注意が必要です。