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江波山気象館 メールマガジン
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2009年 3月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
気象に関するさまざまな情報をお届けします。
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生物と季節の変化
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 サクラが見ごろの季節になりました。まだ、寒い日もありますが、サクラが咲いていると思うと、なんだかウキウキとした気持ちになってきますね。

 サクラは、前年の夏には翌年の春に咲く花の芽(花芽)が作られ、その後間違って秋に咲いてしまうことがないように眠りにつきます(自発休眠)。冬になって、気温が下がる(ある程度の寒さを経験する)と目を覚まします(休眠打破)。その後気温が低いとやはり花芽の生長は進みませんが(他発休眠)、春が近づいてきて暖かくなってくると花芽は生長を再開し、つぼみがふくらんで花を咲かせるのです。

 冬から春にかけて気温の低い日が続くと、サクラの花が咲くのが遅れるというのはよく知られていますが、これは、温度の条件が満たされずに花芽の生長が進まないために起こります。逆に八丈島など冬が暖かいところで開花が遅れるということも話題になるようになりましたが、これは、休眠打破をするだけの冬の寒さを経験できなかったことによるのです。

 サクラ以外の生物も気温や、昼と夜の長さなど周りの気象や環境の変化を感じ取り、それぞれ1年のリズムを持っています。

 この生き物たちの変化を調べることで季節の進み方や気候の違いを間接的に知ることができます。このため、気象台では生物季節観測として、1953年から観測方法を統一して観測を続けています。

 調べる対象は、なるべく身近でしかも日本中で見られる生物です。たとえば広島地方気象台では次の生物について現象が見られた日を記録しています。


・開花日(花が咲いた日)
 タンポポ、サクラ、ヤマツツジ、ノダフジ、アジサイ、サルスベリ、ヤマハギ、
 ススキ、ウメ、ツバキ(サクラについては満開日も)

・発芽日(植物の芽が出た日)
 シバ、イチョウ

・紅(黄)葉日(植物の葉の多くが赤や黄色になった日)
 イチョウ、カエデ

・落葉日(植物の葉のほとんどが落ちた日)
 イチョウ、カエデ

・初見日(初めてその動物の姿を見た日)
 モンシロチョウ、ツバメ、トカゲ、キアゲハ、トノサマガエル、シオカラトンボ、
 ホタル

・初鳴日(初めてその動物が鳴いた日)
 ヒバリ、ウグイス、ニホンアマガエル、ニイニイゼミ、アブラゼミ
 ツクツクホウシ、ヒグラシ、モズ

 いずれも名前を聞いたことのある生物だと思いますが、その姿や鳴き声を思い出すことができますか?

 江波山気象館では、4月26日まで上記の生物たちを写真や鳴き声で紹介する展示「季節をはこぶ 小さな仲間たち〜広島の春夏秋冬〜」を行っています。ぜひ、江波山でお花見をされる機会に気象館にも足を伸ばして、私たちに季節の変化を知らせてくれる生き物たちの姿や鳴き声を確かめてください。

 そして、自分たちの家の周りでも生き物の姿を探してみてください。記録を取ってみると、季節の変化を今までよりさらに楽しむことができますし、広島地方気象台や他の地域の記録と比べてみると、自分の住んでいる場所との違いもわかっておもしろいですよ。


(参考)広島地方気象台の生物季節観測の記録
http://www.osaka-jma.go.jp/hiroshima/seibutu.html
   代表的な生物季節観測対象生物の観測方法と等期日線図(生き物前線)
http://www.data.jma.go.jp/sakura/data/index.html