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江波山気象館 メールマガジン
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2009年 10月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
気象に関するさまざまな情報をお届けします。
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黄砂と煙霧(えんむ)
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 10月19日、秋には珍しく九州北部、山陰地方で黄砂が観測されました。10月に黄砂が観測されたのは1992年以来17年ぶりのことで、ニュースでも話題になり記憶に新しい方も多いと思います。

 春に観測されることの多い黄砂ですが、10月くらいから観測されはじめ、翌年の6月頃まで観測されています。黄砂現象は、気象台など67地点で目視により観測されていますが、月別の黄砂観測日数の1971年から2000年までの30年間の平年値を見ると、次のようになっています。

 1月0.8日、 2月2.4日、3月5.3日、 4月7.4日、 5月3.3日、 6月0.1日、
 7月0.0日、 8月0.0日、9月0.0日、10月0.1日、11月0.3日、 12月0.5日

ちなみに、この期間中、10月に黄砂が観測されたのは、1972年、1977年、1992年でした。

 黄砂は中国のゴビ砂漠やタクラマカン砂漠で低気圧によって巻き上げられた砂が、偏西風や低気圧によって運ばれ、偏西風の強さや低気圧が弱まるにつれ次第に下降することによって起こります。とくに高気圧に覆われ、風が弱く穏やかな天気のときには、上空に取り残された黄砂がより多く下降し、空がかすんで見える状態になるのです。

 春や秋には日本は周期的に移動性の低気圧と高気圧が交互に通過していくため黄砂が訪れる機会は同じようにあるわけですが、黄砂の発生地であるゴビ砂漠やタクラマカン砂漠が秋よりも春の方が乾燥していることから、黄砂の巻き上げが春の方が多いのです。このため、黄砂は通常は春によく観測されます。しかし、今年は夏に中国内陸部が少雨であったために、砂漠が乾燥し、黄砂の原因となる砂が巻き上げられる量が増え、日本まで黄砂が届いたようです。

 さて、ここ数日、広島でも遠くの景色がかすんだように見えています。これは遠く中国大陸から飛んできた黄砂ではなく、私たちの身近な場所で発生した砂ぼこりや煙などのエアロゾルと呼ばれる小さな微粒子が原因で、煙霧(ヘイズ)と呼ばれる現象です。やはり上空を高気圧が覆っているとき起きます。上空が高気圧に覆われると、ゆっくりとした下降気流が生じます。そうなると、舞い上がっていた小さな微粒子は風で吹き飛ばされることもなくゆっくりと地表近くに降ってきます。このため地表近くがかすんだように見えるのです。

 最後に、空がかすんで見える原因はなんだろうか、と悩んだときに役に立つアドレスをお教えします。興味のある方は、ぜひインターネットで調べてみてください。

気象庁の黄砂情報
・黄砂状況(実況図)(現在から1週間前までの黄砂の記録が見られます。)
 http://www.jma.go.jp/jp/kosa/
・黄砂状況(予測図)(この先3日間の黄砂の予測が見られます。)
 http://www.jma.go.jp/jp/kosafcst/index.html

環境省大気汚染物質広域監視システム「そらまめ君」
(自動車の排気ガスなどから発生する空中に漂う小さな粒状の物質(浮遊粒子状物質)や光化学スモッグを引き起こす原因となる光化学オキシダントの量が調べられる)
 http://soramame.taiki.go.jp/