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江波山気象館 メールマガジン
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2011年 3月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
気象に関するさまざまな情報をお届けします。
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春の訪れと「なだれ」のお話し
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 まもなく4月です。九州地方をはじめ東海地方や東京でも桜の開花の便りが届きました。広島でも桜の季節ももう間もなくです。いよいよ本格的な春がやってきます。(江波山公園の桜の様子は、気象館ホームページでもご紹介しています。)

 今回のメールマガジンは、春の訪れと「なだれ」の話題です。
 広島県の沿岸部に住んでいる方にはあまりピンと来ないかもしれませんが、広島県北部を含む中国山地は国が指定する豪雪地帯になっています。

 「なだれ」といえば、冬山のイメージがありますが、春先にも起きる事がままあります。気象庁がまとめた日本のなだれ災害報告件数(昭和46年〜平成16年)を見ると、
11月:10件、12月30件、1月68件、
2月99件、3月59件、4月18件、5月9件
となっており、春にも「なだれ」による災害が起きていることが分かります。

 この「なだれ」ですが、大きく分けて2種類あり、主に冬に起きる「表層なだれ」と春先に起きやすい「全層なだれ」があります。
 「表層なだれ」は、積もった雪の表面部分が崩れて起きるなだれで、短時間に大量の雪が降った場合に起きやすく、雪崩の速度も速く時速100Km〜200kmにもなり、なだれの到達距離が長くなりやすい、といった特徴があります。私たちが普通にイメージする白煙を上げながら流れる「なだれ」はこちらのタイプです。
 一方、「全層なだれ」は雪の積もった部分すべてが崩れる雪崩で、気温の上昇やまとまった雨の後に起きやすく、雪崩の速度も表層雪崩にくらべて遅く(時速40Km〜80km)到達距離が短いといった特徴があります。
 ただし、「表層なだれ」「全層なだれ」とも危険な事には変わりはありません。
 「なだれ」による被害として、2010年12月31日、鳥取県江府町のスキー場で発生し4人が犠牲となった「なだれ」が記憶に新しいですが、里山の斜面で発生した「なだれ」が民家に被害を与えたり、道路際の斜面で発生し車両を巻き込んだりする被害などもあります。

 今シーズンの冬は、近年になくたくさんの雪が降りました。
 広島県八幡のアメダスでは、2011年2月13日に観測史上1位の207cmの積雪を観測しました。また3月31日12時の時点でも、79cmの積雪を観測しています。
 これから、どんどん暖かくなりますが、雪の積もっている斜面では「なだれ」に注意が必要です。特に、全層雪崩の発生しやすいときと言われている、
○雨が降った後、気温が上昇したとき
○斜面に雪しわ、ひび、こぶが出来て、徐々に大きくなる場合(特に危険)
○斜面の角度が35度〜45度で樹木がない場合
などの場合は、より一層の注意が必要です。

 3月31日12時現在、広島県の安芸太田市、安芸高田市、北広島町になだれ注意報が発表されています。天気予報等をご覧になる際は、気象庁の発表する「なだれ注意報」にもご注意ください。

なお、広島県でのなだれ注意報の発表基準は、 
1、降雪の深さ40cm以上
2、積雪の深さが 50cm以上あり最高気温 10℃以上
となっています。