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江波山気象館 メールマガジン
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2011年 9月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
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9月の台風〜台風12号・15号〜
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 今月上陸した台風12号・15号は、各地に大きな被害をもたらしました。9月の台風は、勢力を保ったまま日本を縦断するようなコースをとることが多く、過去に大きな災害をもたらした台風も9月が最も多いです。
 8月25日に発生した台風12号は、9月3日午前10時頃高知県東部に上陸。その後、北上しながら岡山県に再上陸し、4日未明に日本海へと抜けていきました。この台風の影響で、記録的な豪雨となりました。
 台風は、南の海上から日本付近をゆっくりと進み、上陸後もゆっくり北上するという進路で動きました。これは、南の海上では太平洋高気圧、そして大陸から日本海に張り出した高気圧にも進路を阻まれたためでした。そのため、この台風は、速い時でも1時間に15キロメートル程度しか進まず、南からの湿った空気が長い時間にわたり、同じ地域に流れ込みました。
 特に、紀伊半島の山の南側斜面では、湿った空気が吹き込み、その空気が紀伊山地で上昇し発達した雨雲が次々と形成されました。この影響で和歌山県新宮市では、4日早朝1時間に131.5ミリの猛烈な雨を観測しました。また、奈良県上北山村では、72時間の総雨量が1652.5ミリと、これまでの国内観測記録1322ミリ[宮崎県神門(みかど)]を大幅に上回る記録的な大雨となりました。このため、土砂災害、浸水、河川の氾濫などにより、和歌山県、奈良県、三重県などで多数の被害がありました。
 台風15号は、13日に日本の南の海上で発生しました。この台風も太平洋高気圧や大陸からの高気圧によって北上を阻まれ、長期間にわたって同じ場所に停滞しました。この時期、日本近海の海水温を見ると、28〜29℃ととても高い状態が続いていたため、勢力を維持したままの台風と本州付近に停滞していた秋雨前線の影響で、台風が日本からかなり離れていた段階から雨が降り続きました。
 この台風も日本各地に雨・風災害をもたらしました。特に台風12号で大きな被害を受けた紀伊半島周辺では、土砂ダムの警戒が続きました。また、東海地方も豪雨となり、愛知県名古屋市では、市内を流れる川が氾濫する危険が高まったとして市民約100万人に避難勧告が出されたり、関東地方では、暴風雨による影響で、交通機関が大混乱したりしました。その後、この台風は、北日本を北東進し、三陸沖に抜けました。
 台風は、多くの水分を供給してくれたり、海水をかくはんすることで海水温の上昇をおさえたりする役目もある一方で、私たちに大きな被害をもたらします。特に、台風の接近前から雨が降り続いていた場合は、土砂災害が起こりやすい状況になっています。最新の気象情報を利用して、一層の警戒が必要です。日頃から災害に対する備えと知識を身につけ、被害を最小限に抑えることができるようにしておかねばなりません。