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江波山気象館 メールマガジン
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2012年 9月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
気象に関するさまざまな情報をお届けします。
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季節の風物詩〜霧の発生〜
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 三次盆地の霧の便りが届く季節になりました。霧は、空気中の水蒸気が冷えて凝結し、多数の小さな水滴になって空気中に浮かんでいるものです。雲との違いは、地表面に接しているかいないかで区別をしています。霧は一年を通して見られますが、これからの季節に多く見られる霧は、内陸部で発生する盆地霧です。
 広島県北部に位置する三次盆地は、その周りを標高300m以上の山々に囲まれた場所です。秋の晴れた夜には、盆地全体を覆うほどの大規模な霧が発生します。霧の成因は、放射冷却によるものです。晴れて風の弱い夜は、地面から空に向かって多くの熱を放射するため温度が下がります。すると地面近くの空気も冷えて気温が下がり、空気中の水蒸気が水滴になって空中に浮かぶのです。このように、放射冷却が強まると霧が発生するので、放射霧と呼ばれています。盆地では、周囲を山に囲まれていることで、空気の入れ替わりが少なく、放射冷却現象による気温の低下が大きくなるのです。
 また、三次市内には、可愛川(えのがわ)[江の川(ごうのがわ)]、神野瀬川(かんのせがわ)、西城川(さいじょうがわ)、馬洗川(ばせんがわ)が流れ、その中央で合流しています。地表の気温が下がっても、川の水はそこまで温度が下がりません。そのため、川から空気中に水分が供給されやすくなります。このことも、霧の発生に影響しています。
 このように、盆地を取り囲む山々や、盆地に流出入する川などの要因が、霧を発生させる原因になっているのではないかと考えられています。
 三原では、晩秋から初冬にかけての海霧が有名です。こちらは、暖かい海上に冷たい空気が入り込むと、海から蒸発した水蒸気によってできる霧で、蒸気霧と呼ばれています。
 一方、春に多いのは、瀬戸内海で見られる移流霧(海霧)です。移流霧は、暖かく湿った空気が冷えた海面に流れるとき冷やされ、空気中の水蒸気が凝結して発生するものです。この時期、日本付近に接近する低気圧が南から暖かく湿った空気をもたらすと、気温より低い海水面に接した空気中の水蒸気が凝結し、霧が発生すると考えられています。
 霧は、季節の移り変わりと結びついた特有の自然現象であり、その土地の観光資源でもあります。一方で、交通障害、酸性霧、日照不足による作物への影響なども考慮しておかねばなりませんね。