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江波山気象館 メールマガジン
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2014年 1月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
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節分と春の訪れ
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 2014年ももう1か月経とうとしています。もうすぐ2月です。2月に入るとまずやってくる行事が、3日の節分です。節分と言うと豆まきを思い浮かべますね。邪気(鬼)を追い払うために福豆を撒き、厄除けをおこないます。また、地域によって撒く豆が大豆や落花生と異なっていたり、恵方巻を食べたりなどと様々な風習があります。
 季節を分けると書いて節分。そもそも節分とは、四季の始まりの日(立春・立夏・立秋・立冬)の前日のことです。なので、実際には節分は年に四回あります。2月3日の節分は立春の前日の節分であり、冬と春の節目を指しているのです。
 なぜこの2月の節分だけがよく知られているのでしょうか。それは、旧正月と節分は日が近く、行事が重なったためと言われています。また、冬から春へと変わり農耕の季節を前にするために、その年の豊作を願うものとなったとも考えられています。そのため、春の節分は現在に至るまで色濃く残っているのです。
 ところで、この春の節分ですが、とても翌日から春になるとは思えないほど寒い印象があるかと思います。広島の過去25年の各年最低気温を調べてみると、2月3日以降にその年の最低気温を記録したのは8回と、寒さが全く衰えていないどころか最も寒い時期であることがわかります。
 なぜ暦上春になっても寒いままなのでしょうか。太陽暦の季節は太陽高度で決められており、一年で太陽が最も高い位置(昼が最も長い)の日を夏至、低い位置(昼が最も短い)の日を冬至、その中間に春分と秋分を定めました。そしてその二至二分を各季節の中央に持ってきて、二至二分の中間に季節の始まりとなる立春・立夏・立秋・立冬の四立を設けました。実は、太陽高度と気温の変化には一か月半ほどずれがあります。太陽の光が大気を暖めるには、すなわち陸と海を暖めなければなりません。これらは温度が変化するのに時間がかかるため、太陽高度と実際の気温はズレてしまうのです。そのため、暦上春を迎えても実際にはまだまだ気温は低いということになります。
 気温の季節を考えるときには二至二分を見ると納得がいきます。今年の春分の日は3月21日ですので、ちょうど春らしく暖かくなっている頃となります。ちなみに、西洋では二至二分を季節の中間に持ってくる暦が使われており、暦と気温の変化が合致しています。
 日本で使われている、この季節と気温がずれている暦で不便ではないのかと言うと、実はそうとも限りません。次の季節を早めに知ることで、細かい農耕順序を踏む水稲栽培の農事に適しています。早め早めに準備をおこなうことができるため、昔の農作業にはとても都合がよかったのです。
 これからしばらくは寒さが続きますが、暦上ではもう現れた「光の春」を探してみてはいかがでしょうか。