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江波山気象館 メールマガジン
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2014年 5月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
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空を彩る光のおはなし
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 5月4日、江波山気象館にこんな問い合わせがありました。「水平な虹のようなものが見えているのだけれど、これはいったい何ですか?」このとき実際に見えていたものは環水平アーク(水平環・環水平弧)というもので、直線の虹のように見える光学現象です。太陽に巻層雲がかかっているときに見え、綺麗なときには上から赤、橙、黄・・・という順に七色の虹色に見えます。この日には広島県東部や東京・大阪などでも環水平アークが観測できたようです。
 空に広がる光学現象には様々な種類があります。一番身近なのは虹ですね。雨が降った後、太陽の光が空気中に漂う小さな水滴に当たると、光が屈折・反射して七色に見えます。環水平アークも虹と同じように太陽の光が屈折した光です。虹と環水平アークでは異なる点がいくつかあり、一つは光を屈折させているのが水滴ではなく氷の結晶(氷晶)だということです。そしてもう一つは、虹は光が水滴で反射するため、太陽と反対の方角に出来るのに対して、環水平アークは氷晶の中を屈折して通り抜けるため、太陽と同じ方角に見えるという点です。
 高層の大気は気温がとても低いため、たくさんの氷晶が浮かんでおり、時には雲になります。氷晶は六角柱の形をしており、その結晶の成長度合いによって細長いものと平べったいものがあるため、光の屈折の仕方は多岐にわたります。そのため、環水平アーク以外にも様々な光学現象が起こります。
 環水平アークは太陽高度が58°以上の時に生じます。空の高い位置から平べったい氷晶の中で光が屈折して、空の比較的低い場所に水平に現れるのです。太陽高度が高くないと見ることができないので、春〜夏の南中時刻頃に観測できることが多いようです。ほとんど同じ仕組みの現象に環天頂アークというものがあります。これは太陽高度が32°以下の時に生じて、空の低い位置から光が屈折して空高い位置に現れます。仕組みはほとんど同じですが、環天頂アークは逆虹とも呼ばれ、下に凹んだ弧を描いて赤が外側に、紫が内側になるように虹色に見えます。こちらは日の出の後と日の入の前の数時間であれば一年を通して起こります。
 よく環水平アークと混同される光学現象に彩雲と言うものがあります。普段白色をしている雲が様々な色彩を帯びるものです。雲の中でも部分ごとに水滴の大きさが揃っているときに、それによって光が回折して生じます。特に、雲が消えかかって水蒸気が蒸発しつつある場合には、水滴の粒が揃いやすいため色づきやすいです。
 他にもたくさんの光学現象がありますが、いずれにしてもあまり頻繁にみられるものではありません。低層の雲に隠されたり、すぐに消えてしまったりすることもありますので、見つけたときはラッキーと楽しんで見てみてください。