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江波山気象館 メールマガジン
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2014年 8月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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夏の台風
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 7月10日には台風8号が、8月9日には台風11号が本州に上陸し、様々な被害をもたらしました。台風と言えば夏の終わりから秋にかけてのイメージがありますが、どうして今回は初夏や夏真っ盛りの時期に台風がやってきたのでしょうか。
 台風は海水温が高い赤道付近の海上で一年中発生しています。海面水温が高いと上昇気流が発生しやすいため、積乱雲が多数発生してまとまり、渦を形成するようになります。渦の中心の気圧が下がってさらに発達すると熱帯低気圧となり、熱帯低気圧の中でも風速17m/sを超えたものを台風と呼びます。ただし、「台風」と呼ばれるのは北西太平洋や南シナ海といった赤道より北で東経100度から180度の範囲のものです。同じ現象でも他の地域ではハリケーンやサイクロンなどの呼び方に変わります。
 赤道付近で発生した台風は、赤道と北極の温度差などによる風に乗って北上します。ただし一直線には北上せず、一般的には赤道から少し離れると東風の貿易風に乗って北西へ、偏西風が吹く地域にまで北上すると北東へと進路を取ります。また、高気圧の中心からは風が吹き出しているため、高気圧の縁に沿って台風が動きます。
 一年中発生し得る台風ですが、夏になると海水温が上昇し台風が発生しやすい海域の緯度が高くなるため、日本へ向かう台風が増えます。しかし、7月から8月にかけては太平洋高気圧が日本列島を覆うことが多いため、沖縄から九州を通り日本海へ北東に抜けるコースを取りやすく、本州を直撃することはあまりありません。今年は太平洋高気圧の張り出しが弱い日が多く、台風の進路が南東寄りになったため台風が直撃したのです。
 8月の台風11号は移動速度がとても遅く、やきもきした人も多いかと思います。台風11号のように進路が定まらず、速度もばらばらなのが夏の台風の特徴です。複雑な進路を取るため「迷走台風」と呼ばれることがあります。夏になると偏西風が強く吹く地域が北に上がり移動速度が遅くなるため、日本を直撃すると被害が拡大することが多くなります。また、6月の台風7号のように台風から熱帯低気圧になったかと思えば再び勢いを取り戻し台風になる、ということもあります。
 これから秋へと移り変わり、台風の影響を受けやすくなるかと思います。日々の天気情報など確認を行って対策を怠らないように気を付けましょう。