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江波山気象館 メールマガジン
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2015年 2月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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雪崩とは?
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 2月に入り厳しい寒さを実感する日もあれば、春を思わせる陽気を感じる日も出てきました。そんな春へ向かう途中のこの時期に注意したい気象災害があります。それが雪崩(なだれ)です。
 雪崩は毎年1〜3月を中心に発生しており、死者・行方不明者を伴う被害となることもあります。集落や山間の道路、雪山にあるスキー場や温泉など様々な場所で起こる可能性があります。
 まず、雪崩とはどのような現象かというと、「斜面上にある雪や氷の全部、または一部が肉眼で識別できる速さで流れ落ちる現象」です。斜面が急(30度以上)になると発生しやすくなり、特に35〜45度が最も危険と言われています。また、背が高い木が密に生えているような斜面では発生しにくく、木がまばらに生えていたり低い木や草に覆われたりする斜面では雪崩が発生しやすくなります。
 雪崩には「表層雪崩」と「全層雪崩」という2種類の雪崩があります。表層雪崩は引き締まった古い積雪面上に降り積もった新雪の層が滑り落ちる現象で、気温が低く降雪が続く1〜2月に多く発生します。それに対して、暖かくなる春先に起こりやすいのは全層雪崩で、気温の上昇や降った雨水によって斜面が滑りやすくなり積雪層全体が滑り落ちる現象です。2月はそのどちらの雪崩も起こりやすい時期なのです。
 表層雪崩は時速100〜200kmという新幹線並みのスピードで落下して、発生地点から遠く離れた場所までやってくる恐れがあるため大変危険です。昭和61年1月26日に新潟県能生(のう)町(現、糸魚川市大字能生)では、権現岳という山の中腹で発生した雪崩が2kmも離れたふもとの集落を襲い、民家11棟を巻き込み死者13名となる大惨事が起こりました。全層なだれでも時速40〜80kmと自動車並のスピードで落下するため、発生に気付いてからでは遅いのです。
 日頃から雪崩について防災意識を持つことで、自身が巻き込まれる危険性を下げることができます。市町村が作成、配布しているハザードマップを確認し、その地域の危険個所を把握したり、気象庁で発表される「なだれ注意報」を確認することが大事です。また、雪崩の前兆は見た目でわかることも多く、急な斜面や尾根から雪が張り出している雪庇 (せっぴ)や雪面の亀裂は雪崩の前兆です。もしも雪崩の前兆を発見した場合には決して近づかずに、最寄りの市町村役場や警察署、消防署へ通報しましょう。
 雪の多い地域に住まれている方はもちろん、多雪地域での登山やスキー、温泉などで観光客が雪崩に巻き込まれることもあります。今一度雪崩の危険性を十分認識しておきましょう。

国土交通省 雪崩防災 http://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sabo/nadare.html