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江波山気象館 メールマガジン
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2015年 4月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
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雪から見る季節の地域差
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 今年4月8日、強い寒気の影響で北〜東日本を中心に雪やみぞれが観測されました。満開の桜に雪が積もるという、風情のある景色が見られるところもありました。東京で4月に雪が降ったのは2010年以来5年ぶりとなります。
 初雪はよく知られていますが、その季節の終わりの雪がいつ降ったのかというのはあまり知られていません。その冬最後の降雪(みぞれでもよい)のことを終雪(しゅうせつ)と言い、終雪となった日のことを終雪日と言います。専門的な用語なので予報や解説には用いられませんが、春の季語で終雪と同意語として使われている名残雪や忘れ雪などは、曲や映画のタイトルにも使われているため聞いたことがあるのではないでしょうか。
 4月に雪が降るのは地域によっては珍しいことではありません。1981年〜2010年の広島の終雪日平年値は3月11日ですが、終雪日が一番遅い網走では5月9日とかなり差があります。また、沖縄では雪が降らないため終雪日はありません。終雪日を見るだけでも、日本列島が南北に長いことが実感できます。
 同じ時季にちなんだことわざでも、地域によって表現が異なり季節感の違いがわかるものがあります。それが、「暑さ寒さも彼岸まで」と「彼岸過ぎて七雪」です。「暑さ寒さも彼岸まで」は、冬の寒さや夏の暑さは春秋の彼岸を境として和らいで過ごしやすくなるという意味です。それに対して「彼岸過ぎて七雪」は、彼岸が過ぎてもまだ7日は雪がちらつくという意味や、あと7回雪が降ったら春が来るなどの意味です。彼岸過ぎて七雪が当てはまる地域では、彼岸を過ぎてもまだ最低気温が0℃を下回ったり氷が張ったりします。どちらも彼岸の頃を言っていることわざですが、思い浮かべる景色にはかなり差がありそうですね。
 他にも、雪が多く降る地域、特に北海道でなじみのある言葉に「雨一番」と言う造語があります。春一番とよく似た言葉ですが、春一番は立春から春分の間に初めて吹く強い風のことで、気象庁で使われている予報用語です。一方、雨一番は立春以降に初めて雪やみぞれが混ざらない雨が降ることで、元釧路気象台長の平塚和夫氏がつくった言葉だそうです。北海道では春分の頃、つまり先に述べた彼岸の頃になってもまだまだ寒く、春と言うには早すぎるため春一番という言葉は使われていません。そのかわりに、春の到来を真っ先に感じられる雨を季節の移ろいの指標としたのでしょう。
雨一番は札幌付近で3月中旬ごろに降ることが多いです。終雪日と見比べると分かりますが、雨一番が降ったからと言って雪が降らなくなるわけではありません。
 広島ではもうほとんどが葉桜となってしまい、日によっては夏を思わせるような気温まで上がるときもあります。一方ではようやく雪が解け春を迎えようとする地域があると思うと、季節の移り変わりをまた違った一面から感じることができますね。