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江波山気象館 メールマガジン
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2015年 5月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
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初夏の海霧
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 雲に乗って空を飛べないだろうか・・・そんなことを幼い頃に考えたことのある人は多いのではないでしょうか。しかし物心がつくと、雲は水滴でできていると知ってしまい、乗ることなんてできないと気付いてしまいます。少し寂しく思えてしまいますね。
 空高くに浮かぶ雲に触ることは、それこそ雲をつかむような話なのかもしれません。しかし、雲ととてもよく似たものが私たちのすぐそばで発生することがあります。それは霧です。雲と霧はどちらも小さな水滴でできています。
 雲と霧はその発生している場所によって決まります。空気中に浮かんで地面に接していないものが雲、観察者の立っている地面に接しているものが霧です。例えば、山の中腹辺りに出来た小さな水滴の集まりは、山のふもとから見上げると雲として見えます。しかし、山を登って雲があると思った場所に着くと、水滴が地面に接しているため霧に覆われた状態となります。同じ水滴でも見る場所によって呼び方が変わるのです。ということは、空に浮かぶ雲には触れなくても、地面付近にできた霧には触ることができるわけです。もっとも、小さな水滴なので触った感覚はほとんどないかもしれません。
 一年を通して様々な場所で見られる霧ですが、海で発生する霧を海霧(うみぎり、かいむ)と言います。特に5月を中心とした春から初夏にかけては、移流霧という種類の霧が発生しやすいです。日差しが強まる5月は、気温がどんどん上昇し夏日や真夏日となる日も出てきます。しかし、海水は空気に比べて温まりにくいため、まだ冷たいままです。そうした状況で、暖かい空気が冷たい水面の上を流れ込むことで冷えて、空気中に含まれていた水蒸気が凝結し霧が発生するのです。
 瀬戸内海は島が多く点在し、海霧が発生しやすいです。陸地に囲まれている瀬戸内海では湿った空気が溜まりやすく、その空気が陸から海へ吹く風に流されると霧が発生します。海霧は海上で見通せる距離が500m以下にもなるほどの濃霧になりやすく、かつ継続時間も長いため、特に船舶にとって大きな障害となります。1955年5月11日には高松港沖で発生した濃霧のために客船同士が衝突して沈没し、168名の尊い命が犠牲になる事故がありました。
 このほか、霧で有名な釧路市周辺では年間100日程度霧が発生し、その多くが海霧によるものです。釧路市は黒潮と親潮の二つの海流がぶつかる場所の近くに位置しています。夏が近づき南風が吹き始めると暖かい黒潮の上を通った空気が多くの水蒸気を含みます。そのあと冷たい親潮の上に吹き抜けるため、空気が冷やされて霧が発生するのです。海でできた霧が風で海岸まで流され、数日にわたって濃霧がもたらされることもあります。
 視界が遮断され時には事故を引き起こす海霧ですが、海一面に広がる海霧はまるで雲海のようです。春から夏にかけてできる海霧の他にも、秋から冬にかけて発生しやすい蒸気霧という海霧もあり、その景色が観光スポットになっている場所もあります。ぜひ各所の海霧をご覧になってみてください。