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江波山気象館 メールマガジン
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2015年 7月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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梅雨期の3つの台風
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 今月初旬から中旬にかけて、3つの台風が日本に向かって移動してきました。台風9号、台風10号、台風11号(以下○号のみ表示)です。そのうち9号は接近し、11号は上陸しました。梅雨期に3つもの台風が同時に存在したのは13年ぶりとなります。
 2つの台風が近づくと、片方の台風を追いかけたり、反対に離れたり、片方に取り込まれたりと特徴的な動きをすることがあります。今回の3つの台風では、9号と10号が互いに影響するぐらい近づき、そのほか気圧の配置や偏西風の影響もあり、進路予想が難しくなりました。幸いにも9号・10号ともに西へそれて本州直撃は免れましたが、9号は沖縄本島に接近し最大瞬間風速40m/s以上もの暴風が観測されました。
 さらに、梅雨期にやってくる台風は日本に接近することで梅雨前線に影響を与え、被害が拡大することがあります。梅雨前線などの前線は、異なる性質の空気のかたまりが接する場所で、雨が降りやすくなっています。そのような前線があるところに台風が近づくと、台風から暖かく湿った空気が流れ込み、前線の活動をより活発にするので大雨となることが多いのです。
 16日に上陸した11号は梅雨前線に影響を与え、大きな被害を及ぼしました。さらに11号は動きが遅かったこともあって長時間にわたり大雨や暴風が続き、四国から関東までの各地で土砂災害警戒情報が出され、高知県から茨城県の2府14県で避難勧告や避難指示が出されました。死者2名や重傷者12名を含む人的被害が61名となったほか、床上浸水79棟、床下浸水319棟となるなど大きな被害が出ました。そのほか、台風が日本海に抜けた17日夕方から18日にかけても大阪や神戸、京都などでは記録的な大雨が降りました。
 前回、梅雨期に台風が3つ存在したのは、2002年7月8日から12日にかけてのことです。6号、7号、8号が接近・上陸し、九州から東北にかけての広い範囲で豪雨をもたらしました。6号と7号は上陸し、特に6号による大雨では、岐阜県で1時間に90mmを越える激しい雨が降り、岐阜県根尾村で日降水量495mmを観測したほか、関東地方の山沿いでも400mmを越えたところがありました。また、東海、関東、東北地方の平野部でも大雨となるところがありました。風も威力を増し、八丈島で最大風速27.3m/sを観測するなど、伊豆諸島や関東沿岸で暴風を観測しました。全国で死者6名を含む人的被害46名のほか、家屋の全壊27棟を含む損壊が497棟、床上浸水2453棟、床下浸水8400棟という大きな被害がありました。
 梅雨は明け、3つの台風の後にやってきた12号は対馬海峡で熱帯低気圧になりました。次回は少し変わった経歴を持つこの“台風12号”についてお話ししてみようと思います。

消防庁 平成27年台風第11号に係る被害状況等について(第12報)
http://www.fdma.go.jp/bn/2015/detail/920.html
気象庁 災害をもたらした気象事例 台風第6号、梅雨前線
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/report/2002/20020708/
20020708.html