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江波山気象館 メールマガジン
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2017年 9月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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中秋の名月
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 日中の暑さも和らぎ、ようやく秋を迎えたように感じられます。秋の行事はさまざまありますが、日本らしい秋の過ごし方のひとつにお月見があります。お月見は9世紀ごろ中国から伝来した風習で、直接月を見るだけでなく、水面に映すなど、古くから様々な楽しみ方をされてきました。
 お月見と言えば“中秋の名月”です。旧暦8月15日は秋の真ん中の“中秋”であるため、この日の月を中秋の名月と呼びます。よく“仲秋”と混同されますが、仲秋は旧暦8月全体のことを指し、中秋は旧暦8月の真ん中の15日のことを指します。現在使われている新暦では毎年日付が異なり、今年は10月4日ですが、昨年は9月15日でした。
 では、中秋の名月の日にはどれほどの確率で月が見えるのでしょうか。過去20年(1997年〜2016年)の中秋の名月の日の18時と21時の天気を調べました。どちらの時間帯も晴もしくは快晴だったのは、7回でした。どちらかの時間帯では晴となったのは3回で、合わせると20回中10回はお月見ができていたのではないかと思います。ただし、晴れているのに月が雲でちょうど隠されてしまったり、反対に曇っていても切れ間からちょうど月が見えたりすることがあったかもしれません。
 一方で、中秋の名月のころは台風の影響を受けやすいシーズンでもあります。過去20年のうち、広島で中秋の名月の日に台風の影響を受けたのは4回でした。また全国的に見ると、広島では影響を受けていなくても、台風の中心が日本から概ね300km以内に入っていたのは9回です。
 中秋の名月の月はほぼ満月ですので、海は大潮に近く、満潮の時刻に台風が接近していると被害が大きくなります。
 例えば、1999年の台風18号はこの年の中秋の名月の日である9月24日6時ごろ、熊本県北部に上陸しました。九州北部を通り、24日9時前に山口県宇部市付近に再上陸、中国地方西部を通って日本海に進みました。台風の接近は満潮の時刻から少しずれましたが、大潮の時期であることに加え、風速30メートル前後となる強い風や気圧が下がった影響で、九州北部や中国地方瀬戸内海沿岸では各地で高潮になりました。広島県の沿岸部でも大きな高潮被害が発生し、床上・床下浸水など様々な被害がありました。特に、熊本県の不知火町(現宇城市不知火町)では12名の方が亡くなりました。1959年の伊勢湾台風以来の高潮による犠牲者で、社会的にも大きな衝撃を与えました。
 気象庁が9月27日17時に発表した週間予報によると、今年の中秋の名月の日である10月4日は、広島の天気は曇時々晴、降水確率30%の見込みとなっており、お月見ができるかもしれません。最低気温は16℃の予想となっており、地域によっては冷え込むこともありますので、羽織ものを用意してお月見を楽しんでみてください。