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江波山気象館 メールマガジン
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2017年 10月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
気象に関するさまざまな情報をお届けします。
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台風の大きさと強さの基準
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 平成29年10月23日に日本に上陸した台風21号。この台風は新聞、テレビ等で「超大型の台風」として警戒が呼びかけられました。
 台風とは、北西太平洋で発生する熱帯低気圧のうち、最大風速がおよそ17m/秒以上のものをいいます。
 気象庁では台風の大きさを風速15m/秒以上の風が吹いているか、吹く可能性のある範囲の半径が500km以上800km未満の場合を「大型(大きい)」、800km上の場合を「超大型(非常に大きい)」として階級分けしており、強さについては、最大風速が33m/秒以上44m/秒未満の場合を「強い」、44m/秒以上54m/秒未満の場合を「非常に強い」、54m/秒以上の場合を「猛烈な」としています。
 気象庁が発表する台風に関する情報では、台風の大きさと強さを組み合わせて「大型で強い台風」のように表します。また、風速15m/秒以上の風の範囲が500km未満で、最大風速が33m/秒以上44m/秒未満の場合だと「強い台風」となります。
 しかし、以前は「ごく小さい」や「なみの大きさ」、「弱い」や「なみの強さ」といった階級が使われていました。また、台風の最大風速の基準に達しない熱帯低気圧は「弱い熱帯低気圧」とされていました。
 台風の大きさと強さの階級分けが変更される前の年、平成11年8月に神奈川県の玄倉川で水難事故が発生しました。当時、日本の南岸にあった熱帯低気圧で関東地方の平野部でも300mm前後の大雨(8月13日〜16日)が降りました。川の中州でキャンプをしていた13人が増水した川に流され亡くなりました。
 この時、大雨を降らせたのは台風ではなく熱帯低気圧で、「弱い熱帯低気圧」でした。
 気象庁は、翌年の平成12年の6月1日から防災上の観点から台風と熱帯低気圧の大きさと強さを現在の階級分けに変更しました。
 私たちは、「弱い」とか「小さい」といった表現にときとして「安心感」を持つことがあります。しかし、自然は時として急に状況を変え、大きな災害をもたらす場合もあります。
 また、最大風速が弱まり台風から熱帯低気圧へ変わったり、温帯低気圧に変わったりした際にも、「台風ではなくなったからもう安心」ではなく引き続き、強い風や大雨に警戒をする必要があります。
 「腐っても鯛」ということわざがありますが、気象の世界では「腐っても台(風)」、台風は弱くなっても台風だから用心しなければということです。また、台風ではなくなっても熱帯低気圧や温帯低気圧も大きな災害を引き起こすことがあることを忘れないようにしましょう。