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江波山気象館 メールマガジン
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2018年 2月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
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今冬の気温〜広島県内の寒い場所〜
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 この冬、特に1月から2月にかけて、「この冬は寒いね」という会話をまちなかでよく聞いたように思います。気象庁が気温の観測を行っている広島県内の地点の一つである「広島」の観測値をみると、1月の平均気温は4.3℃となり、1981年から2010年までの30年を使った平年値5.2℃と比べて0.9℃低くなっていました。
 最低気温が0℃未満の日を冬日と言います。1月の「広島」は冬日の日数が13日記録され、過去30年の1月を比較すると2011年(17日)に次いで2番目に多くなりました。1月の冬日の平均日数は7.3日ですから、比べると2倍近くの記録となり、この冬の寒さの厳しさがわかります。
 それでは、広島県内で2018年1月に最も冷え込んだのはどの観測地点なのでしょうか。平均気温を調べてみたところ、庄原市の「高野」の記録が最も低い-1.5℃でした。「広島」よりも5.8℃も低い値です。「高野」の平年値-0.8℃と比べても0.7℃低くなっており、この冬が寒いことが分かります。
 「高野」では、冬日となった日数は28日で、1月のほとんどが冬日だったことになります。しかし、実は「高野」では1月の冬日の平年値は28.9日で、冬日の日数からはこの冬の厳しさがどれほどなのか読み取れません。
 では、最高気温が0℃未満の日である真冬日を調べてみましょう。「広島」では1日も真冬日はありませんでしたが、「高野」では10日もありました。「高野」の1月における真冬日の平年値は5.6日ですから、4日ほど多かったことになります。「高野」のように冬には冷え込む地域では、真冬日を調べてみると寒さの比較がしやすいですね。
 どうして「高野」と「広島」でこれほど気温に差があるのでしょうか。その要因の一つに海面上の高さ(標高)があります。「広島」のデータは広島地方気象台で観測した記録です。広島地方気象台は広島市中区八丁堀にあり、標高は4mです。一方、「高野」の観測地点(アメダス)は庄原市高野町新市にあり、標高570mと広島県内で気温観測を行う地点の中で最も標高が高いのです。
 広島県は瀬戸内海に面し、北部には中国山地があります。そのため、標高の差や沿岸部・内陸部など環境の違いにより、気温の差が生じます。「広島」などの広島県南部の沿岸部は瀬戸内海に面しているため、この時期の気温よりも暖かい海水の影響を受けることで気温が下がりにくく、比較的温暖な冬となりやすいです。しかし、「高野」などの標高が高く内陸部の地域では、気温が低くなりやすいです。
 2月には、高野では冬日は1日から27日まで全て冬日となり、真冬日の日数は6日でした(2月27日現在)。特に、2月9日には最低気温-18.1℃を観測しています。これは「高野」での観測史上3番目に最低気温が低い記録です。厳しい寒さが伝わってきます。
 2月も中旬を過ぎると、「広島」ではようやく最高気温が10℃を越える日も多くなり、寒さが少しずつ緩んできたように感じます。県北の高野では2月27日に最高気温10.1℃となりました。暖かい春の日が待ち遠しいですね。