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江波山気象館 メールマガジン
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2018年 5月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
気象に関するさまざまな情報をお届けします。
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地下浸水に遭遇したら
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 6月1日は気象記念日です。今年も江波山気象館では気象記念日に最も近い日曜日である6月3日に気象記念日イベントを行います。
 この気象記念日イベントに登場する体験装置の中に、“浸水脱出体験装置”があります。大雨で浸水してしまい扉の外まで雨水がたまったとき、扉を開けるにはどれほどの力が必要か体験できる装置です。扉の向こう側に水が溜まっていくと、水深20cmを超えると扉を開けるのは徐々に難しくなり、水深50cmになると大人でもなかなか扉が開けられなくなってしまいます。
 浸水による災害が起こりやすい場所の一つとして地下施設があります。平成11年6月29日には、梅雨前線がもたらした大雨によって福岡県福岡市の市街地で大きな浸水被害が発生しました。福岡県福岡のアメダス観測値によると日最大1時間降水量が79.5mmとなり、福岡の6月の観測記録としては現在でも1位の記録となっています。この梅雨前線による大雨は、広島でも大規模な土石流による災害を発生させましたが、JR博多駅の東側を通る御笠川には上流からの雨が流れ込み、ついには氾濫してしまいました。御笠川からJR博多駅に向かって地形がすり鉢状に低くなっていたため、川からあふれ出した水が駅周辺に流れ込んでしまい、多くの地下施設が浸水しました。
 博多駅の東側にあり御笠川から約400m離れたビルでは、地下1階が浸水し1人の従業員の方が亡くなる事故が発生してしまいました。道路を流れる水が止水板を越えて地下施設へ流れ込み、最終的な水位は床から約3mにもなりました。亡くなった方は水圧でドアが開かず、閉じ込められたものとみられています。
 地下施設は人によってはあまり身近ではない環境かもしれません。しかし、通勤・通学で地下鉄を使用したり、お出かけの際に地下街や商業施設の地下階に入ったりすることがあるかと思います。地下での浸水に遭遇するときは、ほとんどが外出中の出来事なのです。
 では、このような浸水に巻き込まれないためには、一体どうすればいいのでしょうか。まずは日ごろから意識をしておくことが大切です。例えば、ハザードマップを見て自分が今いる場所が浸水想定区域になっているか確認したり、避難経路について知っておくと、いざという時に速やかに行動できます。旅先などでも、スマートフォンなどを利用して情報を確認することも大切です。また、地下にいるときには外の雨の様子が分かりづらくなりますので、気象レーダーの情報や警報・注意報を確認しましょう。また、地下から地上へ脱出する際には、水が流れこんでくる階段を上がらないといけない場面も出てきます。早めの行動を心がけ、避難誘導があった場合には誘導に従って落ち着いて行動しましょう。
 イベントでは浸水脱出体験の他、気象庁マスコットキャラクターの“はれるん”と一緒に、大雨の時にどうしたらいいのか学ぶトークショーや、館内に配置されたお天気クイズに挑戦するクイズラリーなどにも参加できます。6月3日はどなたも入館無料になりますので、ぜひ江波山気象館に来て大雨や地震による災害についての知識を深め考える機会としていただければと思います。

災害列島1999 大都市の無防備な地下空間を襲った集中豪雨
http://www.mlit.go.jp/river/pamphlet_jirei/bousai/saigai/1999/html/e001.htm