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江波山気象館 メールマガジン
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2018年 12月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
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光が映える季節
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 冬になり、街のあちらこちらがイルミネーションで彩られるようになりました。きらきら光る灯りを見ていると、寒くて沈みがちな気持ちも華やかになりますね。ところで、イルミネーションや夜景の光は、なんとなく夏よりも冬の方が綺麗に見える印象はありませんか?クリスマス等のイベントが多いため街に電飾が増えるなど、様々な理由があると思いますが、今回は気象の観点から冬に光が映える理由を探ってみましょう。
 まずは灯りを楽しめる時間の長さが挙げられます。広島の日没時間を調べると、一年の中で最も日没が早いのは11月末から12月初旬で、17時頃に日が沈んでしまいます。一方、最も日没が遅くなる6月末から7月初旬は19時30分頃にようやく日が沈みます。夏と冬とでは2時間半も違うのですね。
 日没したからといってすぐに辺りは真っ暗にはなりません。空はしばらくの間明るい“薄明(はくめい)”の状態になっています。太陽の光が地球を照らすとき、その光は大気を構成する気体の分子にあたり、様々な方向に散乱しています。そのため、太陽が地平線よりも下に沈んでも、散乱した光が空を明るくしているのです。照明が無くても私たちが外で活動できるぐらい明るい薄明の状態を“市民薄明(もしくは常用薄明)”と言い、季節や緯度によって異なりますが、日没後30分程度続きます。こうして次第に暗くなり、ようやく灯りが映えるようになります。日没が早い冬であれば18時頃にはすっかり暗くなっていますから、帰宅途中など暗い中でイルミネーションを見られる機会が多いことが、綺麗な光を印象付ける一つの要因ではないでしょうか。
 もう一つ、冬には光が見えやすくなるというのも関係があるかもしれません。光は水蒸気や小さな水滴、塵などが大気に含まれていると、その分散乱し明るさが弱まります。大気は気温が高いほど水蒸気を多く含むことができるため、気温が低い冬には大気中の水蒸気の量は少なくなっています。そのため、夏に比べて冬は光があまり弱まらずに私たちの目に届きます。
 広島の平均気温と相対湿度の平年値を使って空気中の水蒸気量を計算してみると、最も日没が早い12月の水蒸気量は、最も日没が遅い7月のおよそ3割程度になっています。夏と比べて冬は乾燥しているため、光の散乱が少なく綺麗に見えやすいと言えるでしょう。灯りからの距離が遠ければ遠いほどその影響は大きくなるため、特に夜景を見るときには遠くの光まで見える冬の方が綺麗に思えるのかもしれません。
 イルミネーションや夜景の他にも、夜空を見上げると星が綺麗に見える季節でもあります。冬に主役になる様々な光をぜひ楽しんでみてください。