△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

江波山気象館 メールマガジン
▲▼▲お天気かわらばん▼▲▼

2019年 2月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

広島市江波山気象館から
気象に関するさまざまな情報をお届けします。
https://www.ebayama.jp
============================================================================
乾燥の季節
============================================================================

 冬になると困るのが乾燥です。静電気が起こりやすくなる、手や目が乾燥するなど、日常の小さなストレスとなることも多いです。空気中が乾燥していると火災も起こりやすくなります。
 乾燥する、ということは湿度が低いということです。湿度にはいくつか表し方があり、最も一般的に使われている湿度を「相対湿度(%)」といいます。
 相対湿度とは、ある空気が含むことができる水蒸気の限界量(飽和水蒸気量)に対して、どれぐらい水蒸気が含まれているかという割合です。空気は、気温によって水蒸気を含むことができる量が変化し、気温が高ければ高いほど水蒸気を多く含むことができます。
 ここで、一年通しての湿度の変化を見てみましょう。広島の平均湿度の平年値(1981年〜2010年)は、
  1月68%、2月67%、3月64%、4月62%、5月66%、6月72%、
  7月74%、8月71%、9月70%、10月68%、11月69%、12月69%
となっており、梅雨の頃から夏、秋の初めにかけて湿度が高くなり、秋の半ばから冬、春にかけて湿度が低くなることが分かります。
 ところで、私たちが快適に過ごせると言われている湿度は、家電メーカーなどでは40%〜70%の間としているところが多いようです。そうだとすると、先ほどの平均湿度ではほぼ一年中快適な範囲だということになります。
 では、どうして冬になると乾燥しているように感じるのでしょうか。それは空気中に含まれている水蒸気の絶対量が関係しています。空気が含むことができる水蒸気量は気温に大きく依存するため、同じ湿度70%でも、気温が10℃と30℃では空気中の水蒸気の質量は大きく異なります。
 温度と湿度から、1立方メートルの空気に含まれる水蒸気量を重さで表す湿度を「絶対湿度(g/m3)」といいます。試しに、今月と同じ2月と、湿度が最も高い7月の広島の温度と湿度の平年値から、水蒸気量を比較してみましょう。平均気温6.0℃、平均湿度67%の2月の空気には、1立方メートル当たり約4.9gの水蒸気が含まれています。一方、平均気温27.1℃、平均湿度74%の7月の空気には約19.2gの水蒸気が含まれています。つまり、冬になると夏のおよそ4分の1の量しか空気中に水蒸気が無いのです。
 冬になると室内では暖房器具を使って室温を上昇させます。先ほど計算した2月の空気を、加湿せずにそのまま私たちが快適に過ごせる気温である20℃まで上昇させると、(相対)湿度は約28%となり、非常に湿度が低くなってしまいます。これが、私たちが普段感じている「乾燥する冬の空気」の大きな要因です。
 湿度が低いと身体が乾燥するだけではなく、風邪もひきやすくなります。加湿器を使用する他、濡れたタオルを干す、やかんでお湯を沸かすといった昔ながらの方法などで部屋の湿度を上げて、快適に過ごせるようにしてみてください。