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江波山気象館 メールマガジン
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2019年 3月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
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日射量と春の訪れ
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 3月になり寒さも緩み始め、江波山公園では桜が開花しました。すっかり春になったように感じますが、まだまだ寒い日もあります。冬から春へ移り変わるときの気温の変化は三寒四温と呼ばれ、寒い日と暖かい日を数日の間隔で繰り返しながら徐々に暖かくなっていきます。
 季節の変化には日射量(太陽からの放射エネルギーの量)が大きく関わっています。地球は地軸が傾いているため、太陽の周りを地球が一周する一年の間に日射量が変化します。北半球が太陽に向かって傾いているときには、日本では太陽が出ている時間が長くなり日射量が増加します。最も太陽が長く出ているのは夏至(2019年は6月22日)で、最も太陽が出ている時間が短いのは冬至(2019年は12月22日)です。
 広島の全天日射量(地表面が受け取る全ての太陽エネルギー)の平年値(1981年〜2010年)を調べてみると、全天日射量が最も多くなるのは、5月末と7月末から8月頭にかけてです。夏至の頃には太陽が出ている時間が長くはなりますが、6月から7月にかけて日本では梅雨に入っているため、曇りの日が多く全天日射量が少なくなってしまいます。太陽が出ていられる時間のうち、40%以上の時間で日照があった日(日照率≧40%)の平年値をみても、6月から7月にかけて最も少なくなっています。
 全天日射量は冬至を過ぎた12月末から徐々に増加しますが、特に冬から春に移り変わる2月から4月にかけて大きく増加します。これは、太陽光が地球に届く角度によって、光が当たる面積が異なるためです。太陽光の角度が地面に対して垂直に近くなるほど光が当たる面積は小さくなるため、同じ面積でも受け取るエネルギー量は大きくなります。つまり、冬の終わりからは日照時間も日射量も大きく増加するということです。
 さて、それでは冬から春への移り変わりには、日射量はどのような影響を与えているのでしょうか。日射量が1月頃から増加するのは日本だけではなく、同じく北半球にある大陸も同様です。冬の終わりになり日射量が増加すると、シベリア付近では気温が上昇し、寒気をもたらしていたシベリア気団の影響が弱まります。また、中国大陸では暖かい移動性高気圧が発生し、日本の上空を吹く偏西風に乗って日本の西から東へと通過するため、晴れとなり暖かくなります。しかし、移動性高気圧が通過した後には低気圧がやってくるため、雨や曇りの天気のため気温が下がり寒くなってしまいます。このように高気圧と低気圧が数日の周期で交互に入れ替わるため、暖かい日と寒い日が入れ替わりながら暖かくなっていくのです。
 日中に日向ぼっこをしたりお出かけもしたりしやすい時期ですが、夜から翌朝にかけて大きく冷え込む、一日の寒暖差も大きくなる時期です。体調を崩しやすくもなりますので、羽織ものを持ち歩くなど体調管理には十分ご注意ください。